白マム印 日本のこと日本のもの

 
28
 




神棚の左右におかれた白い瓶子(へいし、へいじ)に
差し込まれているのが神酒口(みきのくち)です。


これに類するものは見るともなく見たことはあったのですが、
神酒口(みきのくち)という言葉は知りませんでしたし、
意識して視たのはこの時、2年前の2月がはじめてでした。



非公開の門跡寺円照寺を拝観する機会を得た帰りのことです。
京都行きの近鉄特急に乗るにはまだ時間あり、駅前の商工会議所内の
きてみてならSHOP」へふらりと入りました。

奈良一刀彫や高価なお仏像の模刻にまじり神棚が陳列されていました。
そこではじめてまじまじと視たのが、この神酒口です。

繊細で優美な形に心ひかれいっとき眺め、手にとりました。





奈良の檜を経木(薄い板)にし細工したものです。



家々に神様をお迎えするために神棚や床の間などの神様の場所、
神座(しんざ)が必要です。
神座には、お供えとして鏡餅や農作物やお神酒があがります。

神酒口は神様を迎えいれるための目印、
門松や正月飾りとしての役割があります。







この神酒口は日本中で作られ、地方独特の意匠をこらして
いたようです。
「いた」と過去形にしたのは、
後継者不足で途絶えようとしているからです。

このような美しいものが途絶えていくのは残念で仕方
ありませんが、まだまだ地方には作り続けられているところが
あるのではと思っています。


以来、気をつけていると神酒口を思わぬところで
みかけるようになりました。





↑これは東大寺二月堂(観音堂)の扁額の隣に
掲げられていたものです。








こちらは↑椿で有名な奈良の伝香寺本堂ですが、
視線を脇にずらすと、






紙で折られた神酒口が瓶子に差し込まれて
いました。




奈良のSHOPでみつけた神酒口は
300年の歴史があります。

その形は「火」と「水」をあらわし燃えさかる炎には、
汚れを焼きつくすようにという、
人々の祈りが込められているといいます。





<故大澤 章彦作(清水市技能功労者)>

↑この神酒口は静岡みきのくち保存研究会さん
から借りたものです。


美しいでしょ?
この静岡みきのくち保存研究会さんには
たくさんの神酒口の画像がおさめられています。

はて?見たことあるなあと思うと私が研究会さんに
お知らせした画像だったりと、笑みがこぼれたりも
しましたが、膨大な画像は立派な文化の継承です。




まわりを見まわしてみてください。
意外なところに神酒口があるやもしれません。




                            次回は円照寺さんがでたところで、
                            拝観不可のこのお寺さんを紹介
                            いたしましょう。
                           
                              




*この項の画像の無断転載を禁じます。                                 
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私は福岡で生まれ育ち、
18才で上京し、縁あって現在にいたります。

さて、家庭をもったときのことです。
味噌汁を作ろうと「いりこ」を買いに出たのですが、
どこにも売っていません。

「いりこありますか?」、
「いりこ? ありません」。

何軒まわってもどこにもいりこは売っていません。
いりこがいったいどんなものかさえもわかって
もらえません。

いったい東京の人はどうやって出汁をとるのだろうと
困り果ててしまいました。


後に、いりこは関東では「煮干し」ということが
わかり笑ったものです。
今現在、「煮干し」を知らない人はいないでしょうが
当時のは九州ではニボシは聞きなれない言葉。
というより私は知りませんでした。





<実家の大玄関の正月飾り>



さあ、はじめてのお正月です。
古い木造アパートですが、いっちょ前に玄関飾りを
飾ろうと買いにでかけて、落胆してしまいました。

「これは、正月飾りじゃない」

正月飾りは全国津々浦々同じものと思っていた私には、
目の前のそれは
縦に長く、扇子や伊勢海老で飾り立て
装飾過多で、安っぽくさえみえました。



福岡の正月飾りはおおむね、横に長く、うらじろ、葉つきのだいだい
があしらわれた質素なものです。

勿論、逆も可なり。
東京の方が九州で暮らすことになれば、こんな飾りっけのないものは
「正月飾りじゃない」ということになるでしょう。

日本は小さな島国ですが、東と西では随分と違いがあるものです。



<東京でよく見かける正月飾り>


毎年1月10日前後は京都・奈良に出掛けるのですが、
いつも顔がほころぶのはお正月飾りが
装飾過多にあらず、なお且つ洗練されているということです。
もっといえば、今様の創作飾りではないということです。
伝統が守られているということでしょうか。


このところの正月飾りは、創造性が重視されて
「変わり正月飾り」とでも命名しましょうか、
なんでもありで、個性的な飾りが
家々の玄関を飾っています。
確かに可愛いのです・・・が。


着物が個性的な着付けで流布しているように
いいことなのかもしれませんが、
私はあまり好きではありません。



旧年中の悲しみや、悪や不浄を祓い清める意味をもち
なお且つ、神を迎える清浄な場所であることを示す飾り
は清清しく簡素でいて美しいものであって欲しいと
思っています。



下記に掲載する正月飾りは1月8日9日と京都奈良にでかけた
おりに見かけた飾りです。



<京都 永観堂智福院院>



<京都>



<京都 銀閣寺八幡神社>



<奈良>



<奈良>



<奈良東大寺>





東北のお正月飾りはどのようなものなのでしょう。




*この項の画像の無断転載を禁じます。
 
12
 


<鏡池より東大寺大仏殿をのぞむ>


500年ぶりのご新造をまかされた仏師とはどのような方なのだろう。
そう思いつつも、いつもの性癖でその思いは薄まっていき
日常の中に埋もれてしまいました。







ある時のこと、
インターネットで版画を検索していました。
そして、偶然にもあの「月の舟」と題された彫刻に再びめぐり
あうことができたのです。
作者は三輪途道(旧姓上原三千代)という女性でした。
男性作家と思いこんでいた私は驚きましたが、
それ以上に驚いたのはまだお若い方、私よりもひとまわりも
年下という年齢でした。
いえ、
もっと驚いたことは、
この女性が東大寺1250年祭時の菩提僊那上人坐像の作者だったということです。


薄れて埋もれていたとはいえ、長年の思いは別々のところでうずくまって
つながっていたとは。




<わたくしmom所蔵 三輪途道作 檜 漆 彩色 mom家のなめくじ>



それにしても東大寺の懐の深さです。

東大寺は学生時代の三輪先生(当時上原三千代)の技量を熟知したうえ
の登用ですが、それにしても当時30そこそこ。大英断に違いありません。
例え東大寺が起用したとしても面々と続くおかかえの仏師集団がだまって
いるのだろうか等、とても下世話なことですが疑問が浮かんできます。
が、
のちに三輪先生にお会いしたおりその質問をぶつけてみましたところ、
制作中に嫌な思いは一切なかった。
嫌なことは一切耳に入らなかった。
と、
明快に答えてくださりました。

まさに、これが東大寺の器の大きさです。



                                     






*菩提僊那上人坐像に関しては三輪途道先生のオフィシャルホームページ
 ご覧ください。  

                             

私のお仏像の原点と三輪途道先生とのつながり、
このことが縁となり、
私の仏像への旅は深まっていくのでした。


                                この項 完



お仏像と三輪途道先生への長い話   



*黒マムの新春老骨に鞭打つ見仏記」を掲載中
 
09
 


私のお仏像の原点、日光月光菩薩さんは
東大寺法華堂においででした。




<東大寺法華堂(三月堂)>


しかし、現在日光月光菩薩さんは不空羂索観音菩薩さんと
共に昨年開館の東大寺ミュージアムのガラスの向うに
おいでです。







さて、話をもどしましょう。
絵を描くのは好きでも絵の下手なことを自覚している私は
絵画や彫刻や陶磁器を愛でることに重きをおいていきました。


10年ほど前のことです。
ある彫刻写真に目がとましました。
静謐な空気を身のまわりにまとった
老犬(私には老いた犬にみえました)です。
タイトルは「月の舟」。

いい彫刻だなあと、見惚れましたが、

50才すぎの男性作家と勝手に思いこみ
どなたの作品なのかわからないままに心にしるしました。


ちょうどそのころです。
「東大寺大仏開眼1250年祭」がとりおこなわれたのは。
正確には2002年10月15日です。
奈良国立博物館では記念の展示が催されました。
勿論私も馳せ参じ祭をうっとりと眺めたものです。


この大仏開眼1250年祭の大きな話題は、東大寺が500年ぶりに
お仏像を新造されたということでした。
そのお仏像は1250年前に天竺よりおいでになった
菩提僊那僧上(ぼだいせんなそうじょう)の肖像彫刻です。
(僧侶の彫刻であっても高僧の場合、お仏像といいます)


500年ぶりの新造です。

この重責を担う仏師はそれは重鎮でたくさんの弟子を
もった人のはずです。



つづく



<東大寺ミュージアム>




お仏像と三輪途道先生への長い話   
 
06
 




三輪途道先生のカレンダーが、おくられてきました。

早速パネル貼りにして壁に掛けてみました。




さて、なにから書きだせばよいのやら、ちょっと考え
あぐねています。




わたくしと三輪先生の出会いのこと。
あるいは
お仏像のこと。

書くことはたくさんあります。




まずわたくしの生まれた環境を書きだしすすんでいきましょう。


わたくしの家は商家でした。
大きな玄関に長い廊下、床の間のある数々の部屋。
赤いとさかの軍鶏の日本画。
驢馬にのり商いをする異国の人の図。
書画骨董がふんだんにある家でした。

それらが本物かまがい物か残念ながらわたくしには
わかりません。
聞けば答えてくれたでろう母も、今はいません。




<画像は実家から持ち出した横山大観色紙です>



まず、日本美術ありきの中で育った私は
絵を描くのがとても好きでした。
しかし、残念なことに描くのは好きだけれど、絵は下手。
好きこそものの上手なれというのは、あまりあてにはできません。
好きだけど下手。
小さいころからそのことに関しては自覚していましたが、
小学校の4年のときでした。
図画工作の時間に運動場のはしでレンゲ畑を一心に描いていた
私の後ろから声がしました。
「I さんの絵はゴッホのごたあね」。
子ども心にもぐっとくるかけ声です。

この一言が私の人生を変えたと言ってよいと思います。

わたしはその頃出始めた西洋美術の画集ヴァンタンを
母にねだり、ゴッホ、セザンヌ、ミロ、モネ、マネを知り
西洋絵画にふれ、油絵を習い画廊に通う様になったのです。

西洋絵画に傾倒していた私ですが、入江泰吉さんでしたか
土門拳さんでしたかの写真集でみた「日光月光菩薩立像」に
心を奪われてしまいました。

このようなシンプルな線で、慈しみ深さや強さや怖ろしさや
優しさをあらわす事が出来るものがあること。
なにより美しいことに気持が動転しました。

私は毎日その写真集をみていたものです。

それは中学3年生の時でした。

しかし、それはまだ14、5才です。
いつのまにかその他の楽しいことに気がまぎれ
日光月光菩薩のことはみごとに幕をおろしてしまって
いました。



それから2年後のことです。

高校の修学旅行で、東大寺を訪れました。
友人らとなにげなく入った薄暗いお堂には
たくさんのお仏像さんがおいででした。

そのたくさんのお仏像さんのなかに
中学の時に恋焦がれた日光月光菩薩おいでだったのです。




<画像は日光菩薩 ポストカード>



完全に忘れ去っていたお仏像さんが目の前に
おいでになった時の私の気持はどうあらわせば
よいのでしょう。
申し訳なかったという気持と畏怖と懐かしさ、
それから、なんて美しいんだろうという
ないまぜの気持でしょうか。


私のお仏像の原点はここにあります。



つづく


お仏像と三輪途道先生への長い話   




<わたくしmom所蔵 三輪途道作 檜 漆 彩色 おかいこ>



*関連記事 黒マムコーナーはコチラです
 
04
 



市販のお節料理に食指がうごきません。
甘くて濃い味付けと途方もなくお高い値段。
とてもそれらを寿いでなんかいられません。

 

毎年、品数は少ないのですが、3日がかりで
好きな物、保存がきく料理を作ります。

黒豆は丹波の黒豆を1昼夜砂糖水につけて
コトコト煮ます。6時間ほど弱火で煮ると、
つやつや、ふっくらとした柔らかいお豆さんの
出来上がりです。
これで2011年も豆に暮らせます。

子孫繁栄の数の子も3日前に皮をはいで
筋をとり流水で塩を抜き薄いお出汁に
つけ込みます。
孫がいっぱいできるかしら。

お豆さんを煮ている間に、鶏ガラで
お雑煮のお出汁をとります。
1羽150円ほどのガラを2羽いれます。
それはそれは上等の出汁がでます。
干し椎茸の戻し汁をいれると味に
奥行きがでます。

お雑煮をよそう寸前に細く切った
するめと昆布を椀の底にしのばせます。

これで、1年、悪いことスルメ。よろコンブ。
です。
いつも母がそう言いながら食べていました。

栗きんとんは黄金の運がつくように
お願いしながら金時芋をこしながら
甘さをおさえた味に整えます。
宝くじはこれでОKでしょうか。


あとは保存のきく牛タンの味噌漬けに
かしわ肉をくるくる巻いて生姜と
白ネギを加えただし汁でボイルした
かしわ巻きにバジルペンネを加えます。


どれもお屠蘇にあって、3が日は
主人も私も赤ら顔です。



寿







武蔵野市 杵築神社舞台

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Author:gurekomom
ひとりテクテク、本をポッケにいれてお仏像巡りをしている時が一番幸せです。
楽天のマムの素より移転してきました。こちらに収められてない神社仏閣がたくさん記録されています。
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またカバ屋印では日常のてんやわんやぶりを公開しています。
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