白マム印 日本のこと日本のもの

 
21
 

前回、選者が小粒といってしまいましたが、
第1回目の選者のすごいこと。

川端 康成
菊池 寛
久米 正雄
小島 政二郎
佐佐木 茂索
佐藤 春夫
瀧井 孝作
谷崎 潤一郎
室生 犀星
山本 有三
横光 利一


まさに文士と文豪の集まりです。
時代劇のお芝居でもはじまりそうです。

ご存知のことと思いますが、芥川賞は
菊地寛が親友の芥川龍之介を偲び
創設した新人小説家に与える賞です。


第1回受賞作は石川達三の「蒼氓 (新潮文庫)」
です。






候補者のなかには、高見順や太宰治がいました。
この頃の太宰治は薬物中毒症となり多額の金銭を必要としており
小説家としての保証として、そしてそれ以上に賞金500円が
必要だったようです。

大方の予想は「逆行」と「道化の華」2作が候補にあがった
太宰治が受賞するということでしたが蓋をあけると落選。

この時の川端康成太宰に対する選評、

「逆行と道化の華は一見別人の如く、そこに才華も見られ、
なるほど「道化の華」の方が作者の生活や文学観を一杯に
盛っているが、私見によれば、作者目下の生活に厭な雲ありて、
才能の素直に発せざる憾みあった。」というもので、

太宰は「作者目下の生活に厭な雲ありて」に過敏に反応し
「川端康成へ」と題する文章を掲載、
「私は憤怒に燃えた。幾夜も寝苦しい思ひをした。小鳥を飼ひ、
舞踏を見るのがそんなに立派な生活なのか。刺す、さうおもった。
大悪党だと思った」と川端をなじり倒すのですが、
これに対し川端は

「根も葉もない妄想や邪推はせぬがよい。・・・生活に厭な雲云々、
も不遜の暴言であるならば私は潔く取消す」ときわめて大人の対応
をしたのは有名な話です。







太宰はこれほど川端を攻撃したというのに、
翌年の第3回芥川賞決定前に女々しい手紙を「大悪党」に
おくります。

「何卒私に与へて下さい。一点の駈け引きございませぬ。
深き敬意と秘めに秘めたる血族感とが、右の懇願の言葉
を発っせしむる様でございます。
私に希望を与へて下さい。私に名誉を与へて下さい。
晩年(候補作)一冊のみは恥かしからぬものと存じます。
早く、早く、私を見殺しにしないで下さい。
きっとよい仕事ができます」


わたくし自身は逆行はちょっと散漫で好きではありませんが、
道化の華も晩年も非常によい作品だと思っています。
死んでなお増刷され続けているのがのがその証拠でしょう。

太宰は短編の名手ですし、ユーモア作家でもあり
文章もとてもきれいです。


個人的には短編の「眉山」が好きです。


余談ですが、
太宰が芥川賞をとれなかったということは素行が悪すぎた
ということも本の少し影響したかもしれませんが、
次女の津島佑子さんがやはり芥川賞を受賞されていないのは
解せません。











<太宰治 入水地に置かれている玉鹿石(三鷹駅南口)>

*芥川賞あれこれ ///////


参考文献・参考ウェブ
芥川賞90人のレトリック 彦素 勉 / 回想の芥川・直木賞 永井 龍男
/芥川賞の研究―芥川賞のウラオモテ(1979年) 永井 龍男
/文藝春秋/週刊文春/ウエブ 芥川賞のすべて・のようなもの

 
*「芥川賞のすべて・のようなもの」はとても優秀なサイトです。
  興味のある方は是非ご覧下さい。


                                         前回/次回
関連記事
スポンサーサイト

Comment






(編集・削除用)

Trackback

URL
http://gurekomom.blog.fc2.com/tb.php/15-8fa1388a
この記事にトラックバック:(FC2Blog User)

プロフィール

gurekomom

Author:gurekomom
ひとりテクテク、本をポッケにいれてお仏像巡りをしている時が一番幸せです。
楽天のマムの素より移転してきました。こちらに収められてない神社仏閣がたくさん記録されています。
https://plaza.rakuten.co.jp/cotton12/
またカバ屋印では日常のてんやわんやぶりを公開しています。
http://pocomom12.blog.fc2.com/

掲載写真の無断使用は禁止いたします。ご使用になりたい場合はご一報ください。

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

カテゴリ

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

ありがとう

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR
Copyright © gurekomom / Designed by Paroday