白マム印 日本のこと日本のもの

 
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芥川賞をいちやくしらしめたのは
昭和30年34回受賞の
石原慎太郎「太陽の季節」。
ということは間違いないでしょう。

しかし、並行してあげなければいけない作品が
あります。
それは、昭和44年61回受賞作
庄司 薫の 「赤頭巾ちゃん気をつけて」です。






この「赤頭巾・・・」時の選考委員は
やはり文士文豪という
冠が似合う先生がたです。


石川 淳
石川 達三
井上 靖
大岡 昇平
川端 康成
瀧井 孝作
中村 光夫
永井 龍男
丹羽 文雄
舟橋 聖一
三島 由紀夫


この「赤頭巾・・・」は
今の人にどんな作品か一言でわかってもらおう
とするならば「オザケンみたいな小説」で、
きまりです。
と、書きながら、オザケン自体がもう過去形で語られているので、
どう説明すればよいやら。


高偏差値、日比谷高校、甘いマスク、
学生運動、おちゃめな彼女。

この小説のキーワードをあげるなら上記のよう。
文体は軽やかで口語調。

ベストセラーとなり、映画化、NHKドラマ化も
されたものです。
ついでに書くならば、小説の中に紘子ちゃんとして
登場させたピアニストの中村紘子さんとの結婚は
当時大ニュースとなりました。


随分脱線してしまいましたが、この小説が出たことによって
日本の現代小説は随分変わりました。
それまでの自然は重々しくなければならない。
青春とは重くて暗い。
等の重しがとれて、軽くポップな文学がお日様を浴びるようなります。


この時の芥川賞選考委員の選評を紹介しましょう。


三島由紀夫
「才気あふれる作品だと思う。」
「饒舌体で書きつらねながら、女医の乳房を見る
ところや、教育ママに路上でつかまるところ
などは、甚だ巧い。」

丹羽文雄
「面白かった。」
「面白い小説のジャンルでは群を抜いていた。
これはこれでよろしい。」

瀧井孝作
「現今の学校卒業生の生活手記で、十八歳の少年にして
は余りにおしゃべりだが、この饒舌に何か魅惑される、
たぶらかされる面白味があった。」「構成も面白く、
繊細な美しさがあった。筋のない小説らしい。」

大岡昇平
「現代の典型の一つを、「猛烈」「最高」など流行語で
書き表しているのに興味を惹かれました。」
「この作品が「新しさ」という点で、芥川賞に
ふさわしいのではないか、と推薦しておきました」


どうです?
ベタ褒めでしょ。
他の先生方も非常に好意的で、芥川賞の選評で一番
ほめられている作品ではないかと思います。

かく言うわたくしもこの作品は大好きで現代小説の
金字塔だと思っています。この金字塔に関しては
村上春樹の「風の歌を聴け」常にがあがりますが、
その8年前にでたこの小説こそだと思っています。


べた褒めの選評をあげましたが、実は川端康成氏は、

「おもしろいところはあるが、むだな、
つまらぬおしゃべりがくどくどと書いてあって、
私は読みあぐねた。」と。

*選評の引用は「芥川賞のすべて・のようなものより

この選評を読むだけで楽しくなってしまいます。



作家の半藤一利氏は文藝春秋社の編集者としてこの
芥川賞選考会の司会などつとめておられたのですが、
川端康成氏のことを

「怖かった、といえば、川端康成さん。
ほとんど発言しないのだが、
『これはいいと思います』と一言の
重みがあり、議論の流れが変わることもあった。
存在感は絶大でしたね」と。
*引用週刊文春

あの虚無そのもののようなぎょろ目で
言われたら、それはもういうことを
きいてしまうでしょう。



この川端康成の「石原慎太郎の太陽の季節」の
選評は、

「第一に私は石原氏のような思い切り若い才能を
推賞することが大好きである。」
「極論すれば若気のでたらめとも言えるかもしれない。
このほかにもいろいろなんでも出来るというような若さだ。
なんでも勝手にすればいいが、
なにかは出来る人にはちがいないだろう。」

と、いうもので同じような若気の作品の庄司薫作品の
無関心さと随分違います。







この時選者に三島由紀夫がいますが、
三島は作家デビュー前に何通もの
ファンレターからはじまる甘ったれた手紙を
川端康成におくり、またそれに康成自身も応え
とても可愛がっています。



                                        前回/次回

*芥川賞あれこれ ///////


参考文献・参考ウェブ
芥川賞90人のレトリック 彦素 勉 / 回想の芥川・直木賞 永井 龍男
/芥川賞の研究―芥川賞のウラオモテ(1979年) 永井 龍男
/文藝春秋/週刊文春/ウエブ 芥川賞のすべて・のようなもの




*「芥川賞のすべて・のようなもの」はとても優秀なサイトです。
興味のある方は是非ご覧下さい。
引用に関しては管理者の許可を得ていることを明記
いたします。

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