白マム印 日本のこと日本のもの

 
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お仏像が好きでたくさんのお寺を詣でて
います。
まず、お仏像ありきの私は、寺院の
格や規模、建物は二の次で
ただただお仏像さんにあいたい一心で
突き進んでいきます。

お仏像さんにみあった(失礼な言い方をお許しください)、
大伽藍のお寺もあれば、気品ある美しいお寺がある半面、
素晴らしいお仏像をお持ちなのに、びっくりするほど
小さく、観光案内にすら載っていないようなお寺さんも
あります。


その後者のなかでも私が魅了され、吸い込まれていくような
心持になった、お仏像、お寺さんをご紹介いたしましょう。


<滋賀県 大慈山福林寺>

住所   滋賀県守山市木浜町2011
電話   077-585-1205
交通   JR琵琶湖線「守山駅」下車、
     江若or近江鉄道バス・堅田行き 木浜口下車徒歩5分

山号   大慈山
宗派   天台宗
本尊   十一面千手観音菩薩
創建年  800年頃
開基   最澄(伝)
湖国十一面観音菩薩霊場第二番所

*公式ホームページ無し
*拝観は要電話


滋賀 福林寺
滋賀 福林寺posted by(C)poco


守山駅前で福林寺さんを人に尋ねても先ずは
誰もわからないでしょう。
タクシーの運転手さんさえ、このお寺さんは
知っていてもとても有名な十一面観音立像が
安置されていることを知りませんでした。

情けないことに素晴らしいお仏像をお持ちだというのに
滋賀の旅行案内本のどれを見ても記載されていません。

2008年11月24日は33年ぶりのご開帳でした。
私は、何年生きたらこの観音様にお会いできるのだろうと
ずっと思っていましたので出発前夜はなかなか
寝つけませんでした。

琵琶湖大橋東に位置する福林寺は、元は漁師さんの村だったと
いいます。
タクシーを降り目にしたお寺さんはとても小さく
拍子抜けしたのがその時の本音です。
が、
次から次に、軽トラックや、小型乗用車が門前にとまり
若いお嫁さんが重箱をもち、もう一方の手で姑さんの
手をひき降りてきたり、孫連れのお年寄りやら、
ご近所さんと連れ立ってきたふうの村人やらを目にすると
温かい信仰が伝わり、小さいなどという気持は
思ってもいなかった、という心持に私になってしまいました。



滋賀 福林寺
posted by(C)poco


滋賀守山市 福林寺
posted by(C)poco


この日はお寺さんにとっても村人にとっても
とても大切な日です。
おめかしをした五色幕がとてもきれいでした。


本堂にはいると、村の信徒さんたちが
三々五々に座り、ストーブを囲んで
近所の噂話に花を咲かせています。
ある人は膝が悪いのでしょう。
足を投げ出しています。

ある人はお重のおいなりさんを頬ばり、
小さい子は走りまわる。


お寺さんの役割はこれなのよ。
と、
私は独りごちます。

賑やかな本堂のどこからかご詠歌とお鈴が
聞こえてきます。

本堂で手を合わせたのち
「御本尊さんはどちらでしょうか」と
くつろいでいるおばあさんにきくと、

「そこの脇からはいるとすぐですよ」と
指をさしながら教えてくれます。

えっ、あんなところと
指先の狭い入り口をみながらはいっていきますと
頑丈な倉庫のような厨子がありそちらに

愛らしい藤原時代の童女のような十一面観音さま

が、おいででした。



福林寺十一面観音
福林寺十一面観音菩薩 藤原時代 木造彩色



とても狭い場所に5、6人の信徒(檀家さん)さんが
座ってお鈴をならしながらご詠歌を詠っておいででした。


東京から電車に揺られてきた疲れと、ご詠歌の
響き、目の前においでの無垢な観音様に
幻惑さえ感じました。

ご詠歌を詠い終えられ、「どこからおいでですか」と
尋ねられ「御本尊にお会いしたくて東京からまいりました」と
言うと、皆さんとても感心されて、私のために
またご詠歌を詠ってくださいました。


滋賀福林寺 秘仏十一面観音立像
posted by(C)poco


どのご詠歌を詠おうかとご詠歌集をくりながら、
これはいやだとか、これはきついとかいいながら
選んでくださるさまが気取りがなくて
聞いていて楽しかったなあと、4年経った今でも
よく覚えています。

眼の前すぐの十一面観音菩薩立像は木造で彩色が
よく残っている、顔が白くふっくらとされてた
たおやかなお仏像です。
豪華な瓔珞(ようらく・装身具)をおつけで
衣の模様もよく残っています。

私は鎌倉期の快慶作のような卓越した技術の
あらわれたお仏像も好きですが、
このような素朴なお仏像様も大好きです。

私のために詠ってくださっているご詠歌をききながら
愛しい観音さまを拝観する。
こんな贅沢なことはありません。

この由緒あるであろう観音様がこの漁師村のお寺さんに
おいでである理由は、廃仏毀釈が元となっています。
廃仏毀釈のおりに破損されるのをふせぐために
村人に担がれてこの小さなおてらにかくまわれたそうです。


守山市福林寺DSC_1062


そうなんです。
こういう村人がお仏像を守り
そしていまもそのご子孫たちが
お仏像を拝んでいる。
これが、あらまほしき姿だと思うのです。


滋賀2008 11.24 004
posted by(C)poco石造宝塔 鎌倉期



作家の井上靖はその作品、星と祭の中で、
「顔は豊かで麗しい。仏様というより、天平時代の貴人でもそこに立っている感じを受ける
・・・・ひたすらに気品高い観音像である」と書いています。(注1)



もう一度訪れたいお寺さんです。



en1  en1

<湖国十一面観音霊場>
1 長等山 微妙寺 天台宗 十一面観世音菩薩  滋賀県大津市園城寺町
2 瑞応山 盛安寺 天台宗 阿弥陀如来  滋賀県大津市坂本
3 紫雲山 聖衆来迎寺 天台宗 阿弥陀・釈迦・薬師三尊  滋賀県大津市比叡辻
4 大悲山 福林寺   滋賀県守山市木浜町  
5 比叡山 東門院   滋賀県守山市守山  
6 寿亀山 正福寺   滋賀県甲賀市甲南町  
7 鶏足山 伊勢廻寺   滋賀県甲賀市甲南町  
8 福生山 檪野寺 天台宗 十一面観音  滋賀県甲賀市甲賀町
9 御都繖山 石馬寺   滋賀県神崎郡五個荘町  
10 釈迦山 百済寺 天台宗 十一面観音  滋賀県愛知郡愛東町
11 松峰山 金剛輪寺 天台宗 聖観音  滋賀県愛荘町松尾寺


<耳より話>
日本の秘仏という本にはこの福林寺の十一面観音菩薩立像は
33年に1回のご開帳と記載されていますが、
拝観にお邪魔してわかりましたが、毎年ご開帳されて
います。電話確認をされて拝観されるとよいでしょう。

<参考本>


日本の秘仏 (コロナ・ブックス)
↑この本を読み、私は福林寺さんを知りました。
日本各地の秘仏が写真とともにでています。
ただし、ご開帳日が古くあてになりませんので
確認されていかれるようにしてください。

   
   星と祭 (上)          星と祭 (下 )


<近辺情報>
この福林寺さんから車で5分ほどの琵琶湖大橋の袂に
佐川美術館があります。
佐藤忠良コレクションや平山郁夫コレクション、
樂吉左衞門館とその茶室で有名です。
とてもよい美術館です。


佐川美術館
佐川美術館posted by(C)poco


滋賀 佐川美術館
posted by(C)poco


滋賀2008 11.24 023
posted by(C)poco


*佐川美術館詳細はコチラをご覧ください

<注>
注1:井上氏は天平と書かれていますが、厳密には藤原期(平安時代の末期)
   のお作です。

   天平時代は710年(和銅三)か ら「長岡京」遷都の784年まで。
   藤原時代は遣唐使廃止の894(寛平六)年から「平家滅亡」の
   1185 (養和四)年までといわれています。
   藤原氏が摂関政治を行った平安時代中期・後期をさすといえば
   わかりやすいでしょうか。



en1  en1

<あまり知られていないけれど素晴らしいお仏像をお持ちの寺院>
守山市福林寺/大津市盛安寺/東大寺三昧堂/高野山光台院/王寺融念寺
備考/岡崎市瀧山寺/三井寺微妙寺/雷山千如寺大悲王院/宝菩提院願徳寺
山の辺長岳寺 1/




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